ピアノを独学で始めて、
好きな曲の好きなフレーズだけを自分勝手に弾いていて、
そこから先をどうすればいいのかわからず、
とりあえず基礎から始めようと思いました。
まずは楽譜を読めるようにならないと。
何となくは読めけど途中で疲れてしまう。
ピアノはほんとに楽しいです。
下手くそでも下手なりに何時間でも無我夢中で弾いていて苦にならない。
音はそのままで自立している。
その1音は何も支えが無くてもたった1音だけで存在していられる。
絵で無心になるには難しい。
いくら無我夢中で描いていても、
やはりそこには何らかの意味を持った形が現れるからだ。
それなら抽象画を描けばいいかもしれない。
だけど私が絵で表現したいのは、具体ではないのだ。
言ってることが矛盾しているように聞こえるかもしれないが、
私にとって抽象画とはこの上なく具体的なのである。
形そのものに意味が無くても、
キャンバスの中で生命を持った構成物は紛れもなく自立しており、
写実画よりも具体的なのである。
だから私は具体的なものを描くことで、
抽象的なものを表現したいのです。
存在の中にこそ不存在があると思うからです。
だから具体的なものを描くことで、
具体的な意味を消去していく作業は精神的に非常に疲れるのです。
しかし、ピアノはひたすらに、
具体的に存在する音の重なりを感じたままに転がして、
積み重ねたり、壊したり、どんなことをしてもずっと具体的に存在する。
それが許される世界なのではないかと、それが快感なんだと思う。
描くことで存在を消す絵画と、
瞬間的に消えてゆく音を積み重ねることで存在させようとするピアノ。
そう絵は残るんだ。
ずっと色の粒子が定着したまま画布に残るんだ。
ピアノは消えてゆく。
弾いた瞬間に消えてゆく。
December 25, 2007