大野一雄

彼は死と、死者と戯れるという。
死者と共存できているかのようだ。
または、自らが死者であるかのように。

その死者が己の手によって死者となったとしても、
共に生きることは可能だろうか。
戯れることは可能だろうか。

永遠に消え去ることのない記憶と共に、
踊り、共に生きることは可能なのかもしれない。

かもしれないが、理解を超えた世界だ。
理解なのではなく、もっと違った次元で。

もっと違った次元で捉えないといけない。

私は恐ろしい。
その恐ろしさだけが目に映り、
そこから先へと進めないでいる。

何に恐れているんだろうか。
その何かさえもわからない。

こうして生きていることが、
息をして、吐いて、
生々しく触ったり、ものに触れること。
その動いている肉体の感覚が忌々しい。

この意識。
この罪の意識。
と共に。

手を合わせ懺悔する。

その罪はどこにも向かわず、
もう誰の物でもなくなった。

ただ罪は生きろと言う。


空をみる。

いつだって空はあって、
いつだって素晴らしい空が頭の上に広がっている。

空があって、
その下に私が立っている。
もうそれだけで救われる気持ちになる。

今日は木枯らしビュービュー、
ホコリが目に入った。

全て受け入れるとこから始まる気がする。

そのホコリをまず受け入れる。
ホコリで涙が出た。

もう空は真っ暗闇で、
目の前には黒い猫がいる。

私はあの天上の世界のような虹を見たことを思い出した。
確か、朝の5時前ぐらいだったと思う。
空一面が淡い桃色をしていて、
大きな輪っか状の虹だった。

その日の夜、
暗闇の中で白い鳩が飛んだ。
まるで伝書鳩のように、
何らかの重要なメッセージを抱えて飛んでいたかのように見えた。

複雑に絡み合った複数の予感の中で、
私は運命のシナリオをどこかで知っていたかのように、
全ての言動や行動がとてもしなやかで、どこか不自然だった。

過去も未来も現在も、つながっているらしい。
時間は意味を持たなくなった。

ただ、この動いている肉体の忌々しい感覚。

日々。


November 27, 2004